108.阿佐ヶ谷うさぎやのどらやきを手土産に貰った。実に嬉しいのだ。

うさぎやのどらやき

 阿佐ヶ谷駅のすぐ近くにある和菓子屋「うさぎや」の名物どらやきを手土産に戴いた。自分の好きな好物を小腹が空いた夕方あたりに頂戴すると、とても幸せな気分になるものだ。
 うさぎやと云えば上野黒門町が有名だ。池波正太郎が株の仲買店で丁稚奉公をしていた少年時代の話。主人の使いで買いに出掛け、帰ってくると「ご苦労さん」と、半紙に包んだどらやき二つ貰えるのがたまらなく嬉しかったと書いている。
 上野のうさぎやどらやきも美味しいが阿佐ヶ谷とは味わいがまるで違うのだ。阿佐ヶ谷のどらやきは皮がもっちりして、餡も程よい堅さを残している。上野の方がご年配に受けが良いかもしれない。皮がふわっとしているからだ。
 阿佐ヶ谷のうさぎやは小ぢんまりした佇まいの店で甘味喫茶で出すあんみつも大変に美味しい。何よりも安いのが嬉しのだが。銀座辺りの甘味何処の半分以下の値段である。
 さて、肝心のどらやきだが、此れが手に持つと其の存在感に先ず驚いてしまう程ずっしりとしている。余り甘過ぎない小豆餡は、北海道十勝の小豆を使っており、粒餡の絶妙な歯応えも素晴らしい。此のはち切れんばかりの粒餡が、もちっとした厚い皮の中に、はち切れんばかりにたっぷりと入っているのだ。
 余談だが、上野のどらやきは横から見るとカネゴンの口の様に少しだけ開いて中の餡が覗ける。阿佐ヶ谷のどらやきは中の粒餡が見えないようにしっかりと二枚の皮の縁が摘んでしっかりと閉じてある。二つに割った時の感動を味わって欲しい。頬が緩む筈だから。
うさぎや 杉並区阿佐ヶ谷北1-3-7
03-3338-9230