109.旨いホイスが呑みたきゃ、恵比寿一ベタな名の田吾作がいい。

田吾作ホイス

 ホッピーが此の数年で可成り一般に浸透して来たがホッピー、ハイサワー電気ブラン、下町ハイボールと同様、地味ながら根強いファンを持つ居酒屋の名物に「ホイス」なる酒が有る。決して、グレーシー柔術のホイス・グレーシーでは無い。
 ホイスは昭和30年代にまだビールやウィスキーが高かった時代に安い焼酎を如何に旨く呑むか研究し白金の後藤商店が創った酒の素である。今でも此処でホイスは製造されており、酒販店のみに卸を続けて居る。
 味は所謂、下町ハイボールに似て非なり、ロシアのウォッカズブロッカ」に薬草のリキュールを混ぜ、更に企業秘密の隠し味も加えているそうだ。此れを焼酎と炭酸で割ると、何とも不思議な癖に成る味なのだ。
 今でも余りお目に掛かる機会が無く、巷の居酒屋好きには「幻の酒」とも云われている酒である。
 恵比寿駅を出て交番の前の駒沢通りを渡ると、すぐ目の前に大きな赤提灯が見える。居酒屋の「田吾作」だ。名前も田舎っぽいが、造りも田舎屋風で、ホッと一息つける佇まいである。此処の名物が、其の幻の酒「ホイス」なのだ。大きくロゴの入ったタンブラーグラスにたっぷりと注がれたホイスは、喉ごし爽やかにクイクイと呑めて仕舞う。
 先ずは、お通しキャ別のお新香をアテに一杯呑み切る。そして、ゆっくりと焼き鳥、焼きとん、或はおでんで、ホイスを攻めて行く訳だ。山菜の煮物なんてのも実に美味い。
 ホイスは、呑み易いから何杯でもお替わりをして仕舞う、実に困った酒である。
田吾作 渋谷区恵比寿西1−1−3
03-3461-2922