2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

170.外神田「花ぶさ」で変わらぬ昭和の味に酔う。

池波正太郎の時代劇を読むと江戸の頃の町の風景が頭に浮かぶ。「健脚商売」を読んだ後には、無性に浅草など隅田川界隈を歩いてみたくなる。「鬼平犯科帳」にも雑司ヶ谷など登場し、訪れる度に鬼平を思い出す。また池波小説には、必ず美味そうな食事や酒が登…

169.九月の渋谷、「麗郷」の腸詰で故人を偲ぶ。

1970年代の終わり頃、毎日授業が終わると渋谷の街に繰り出していた。山手線を降りると、先ずは宇田川交番の脇を抜けてNHK裏の喫茶「ZOO」で珈琲を飲み、新しい音楽とファッションの情報、映画や本の話題等を収集した。そして、直ぐに街に探しに行くのが愉し…

168.大阪阿倍野の「明治屋」は昼と夜の間をたゆたう蝶の止まり木だ。

落語を聴いていても、関東と関西では可成り根本的な考え方が違うようだ。先日、文珍師匠の噺を聴いた。電車に乗っても東京は「痴漢させない!許さない!」である。これが、大阪では「痴漢、アカン!」となり、やる方に向いている。問いかけるべき相手が既に…

167.陽暮れ前に兵六で呑む。漸く此処が馴染む歳になったか。

社会に出てまだ間もない頃、先輩に連れられて八重洲の小さなビアホールを訪れた。八十年代の前半だっただろうか。当時、背伸びばかりしていた僕は流行りのバーやレストラン等ばかりに目を向けて老舗と呼ばれる店に足を踏み入れる事など無かった頃だ。それで…