2008-01-01から1年間の記事一覧

166.「牛めし げんき」で昭和の懐かしい味を頬張る。

今から数十年前、新橋烏森口をSL広場からちょいと入った処に「かめちゃぶ」と云うすき焼き屋が在った。此処は23時間営業で掃除の時間以外開いており、当時20代の働き盛りには重宝する店だった。コの字の大きなカウンターには一人毎ガスコンロが据え付けら…

165.「せんべろ」、実に良い響きだ。魚三酒場で今宵も悦に入る。

かつて、故中島らも氏が「せんべろ探偵が行く」と云う本を出した。かれこれ、5、6年前に出たものだが、全編をらもさんが書いていた訳じゃなかったので、余り満足のいく内容じゃなかったが、それでも十条の斉藤酒場と北千住の大橋が登場していた事だけは当…

164. 渋谷百軒店、喜楽のもやしそばに30年の日々を想う。

今も毎日の様に仕事が終わると渋谷辺りに繰り出して、何処かのバーの止まり木で呑んだくれている。高校卒業後、札幌から上京して来て、かれこれ30年もの時が経った事になる。 思えば、あの頃は健全な日々を送っていたのかな。大学の講義もそこそこにアルバイ…

163. 30秒で揚がる牛かつは、数十分待ってでも食べたい味だ。

ニュー新橋ビルは、実に不思議な処だ。郵便局やチケットショップ、文房具店やスピード印刷の名刺屋に交じって、何故か風俗店や怪しげな緊縛グッズやDVD等を販売している専門店なども密集しているのだ。まさに新橋サラリーマンのメッカの雑居ビルの地下一階は…

162. 不忍池の畔、蓮の花に囲まれて月光をぐいと飲み干す。

上野不忍池の畔、今年の夏もまた「蓮見茶屋」が始まっている。仄かな灯りに照らされた蓮の花を眺めながら、冷酒を一献つけるのだ。水面から吹く心地良い涼風に和み、盃に映る月の灯りをぐいと呑む。 毎年、京都のお盆では大文字焼きの行事が催されが、この「…

161.文庫本片手に1時間半、六厘舎の脇で至福の時を待つ。

お盆休みの平日、家でゴロゴロしていても仕方が無いし腹も減って来たので、日差しが強い午後2時過ぎ、無謀にも大崎百反通りに在るラーメン屋「六厘舎」へと向かう。大崎駅から細い坂道を上がり、店の軒先まで辿り着くと、相変わらず人、人、人の人だかりだ…

160.軽井沢沢屋の手づくりジュースで贅沢な朝を迎える。

昔、軽井沢で夏を過ごした時、これ程に美味しいジュースがあったのか、と驚いた事があった。それはまるで生の果物以上に、その果実の味わいを堪能出来たのだ。 アスファルトの放射熱と都会の喧噪を逃れるために訪れた軽井沢は、まるで別世界だ。朝早く鳥の啼…

159.暑い夏に冷たいビールとおでんの相性は抜群だ。

銀座でおでんと云えば、大抵頭に浮かぶのは「お多幸」か「やす幸」だろうか。どちらも年期の入った方々が大勢働いているのだが、其れが其のまま値段に反映していると思う程に凄いお勘定に驚かされる事が多い。 さて、「やす幸」で修行を積み、老舗と同じ銀座…

158.今年も桃の季節到来。伊達家献上桃のジュースが待ち遠しい。

桃が大好きである。毎年、福島や岡山から送ってもらう桃はお中元などにも使っている。桃の季節になると、毎回必ず馴染みのバーに行って、桃のカクテルを作ってもらうのだが、夏真っ盛りの八月辺りが一番の収穫時期だろうから、収穫したての桃を味わえるのは…

157.居酒屋やぎは、日常が素敵だと云う空気感漂う酒場だ。

武蔵小山のパルム商店街を西小山方面に進み、26号線を越えてすぐの路地裏では、数匹の野良猫が和んでいる姿を見かける。その前には赤提灯の仄かな明りが灯っており、中から愉しそうな笑いが聴こえて来る。 暖簾をくぐると小さなコの字のカウンターが目に入…

156.恵比寿駅スグの大衆酒場は、オバちゃんの笑顔でホっとする。

恵比寿駅を降りて、「さいき」で一杯と思って信号を渡った。今日もきっと混んでいるだろうなぁと躊躇しつつも、玄関越しに中を覗くと案の定カウンターもテーブル席も一杯である。本当にいつも繁盛している居酒屋だな。 良い居酒屋は混むのである。そして居心…

155.小腹が空いたら、小銭を持っていきいき亭のさぬきうどんだ。

新橋烏森口から柳通りをまっすぐ御成門方面へ向かう途中、小腹が空いた時にとても嬉しいうどん屋が在る。「いきいき亭本舗」は本場四国から仕入れているさぬきうどんを安く提供してくれる店だ。内装なんてまるで凝っておらず、シンプルこの上ない。細いカウ…

154.鳥房の丸揚げは、一度食べたら病みつく美味さだ。

京成立石駅を降りるとすぐの処に立石仲見世商店街が広がっている。下町らしい風情の商店街は、ぶらり出掛けても店の方々の気っ風の良さや人情味たっぷりのやりとりで買い物するのも楽しくなる筈だ。 仲見世商店街だけでも十分楽しいのだが、踏切を渡って駅の…

153.岩金酒場の暖簾をくぐり、下町ハイボールで酔う夕暮れ。

佇まい其のものが十分存在価値になっている酒場と云う処が在る。上野鴬谷の「おせん」や南千住日本堤の「大林」などがそうだ。曳舟駅から荒川方面へ歩いて行くと店が少なくなった辺りに一軒家の「岩金酒場」が見えて来る。 四方を蔦に覆われており、古き良き…

152.木挽町の路地裏で蕎麦を喰う。喉越しで梅雨払いも粋だね。

銀座歌舞伎座の裏辺り、木挽町界隈はなんとも長閑な裏通りである。コロッケパンが美味しいチョウシ屋や割烹おさき、老舗の酒蔵秩父錦など、佇まいその物が素晴らしく「木挽町」と云う町にしっかりと馴染んでいる。 此の辺りは、まるで時が止まったかのように…

151.朝一番の深煎り珈琲の香りに誘われて、遠い記憶を思い出す。

歳を取ってくると、子供の頃の記憶がどんどん曖昧になってくる。でも、匂いは鮮明に当時が蘇って来る事が多い。僕の実家はススキノのど真ん中、小さな町の印刷屋だった。一階が事務所で二階が住まいだ。通りに面した事務所はオイルがたっぷりと塗られた土足…

150.北の大地で桜草を愛で、ふわふわのゆきむしロールを味わう。

年に一度、桜草が花咲く季節に実家のある札幌に帰省する。札幌が桜草の地と云う訳では無いが、我が父の道楽が桜草集めなのである。此れまで様々な趣味を愉しんで来た父が晩年ひたすら取り組んで居るのが桜草なのだ。 シナトラに始まり、モダンジャズ、ニール…

149.薄野だけが札幌の盛り場じゃない。金富士酒場でちょいと一杯。

札幌が誇るアーケード街「狸小路」も七丁目を過ぎた辺りから屋根も無くなり、ぐっと人通りも少なくなってくる。其のまま真っすぐ石山通り方面に向かう十丁目は昭和の風情を残した酒場が多く点在しており、吞んべい達の梯子酒に欠かせない通りだ。もう此の辺…

148.極上和牛を安く食べたいなら、並ぶの覚悟でミート矢澤だ。

五反田駅から国道一号線に出て、目黒川を右に曲がると川沿いに沢山のサボテンが見えて来る。和牛専門店「ミート矢澤」は連日大盛況だ。ランチタイムとなれば通りの左右両方に行列が出来る程だ。皆の目当てはハンバーグとサイコロ・ステーキである。 黒毛和牛…

147.「うますぎて申し訳ないス!」は働く人たちの姿が裏付けていた。

浅草へ出掛けるのが好きである。雷門の正面から入り、仲見世を通り抜け、浅草寺をお詣りしたら、後はもう自由に酒を愉しみに徘徊するのだ。 六区界隈には旨い牛スジ煮込みをアテに一杯やれる居酒屋が軒を並べている。その日の気分で潜る暖簾を変えてハシゴ酒…

146.美女は筑紫楼のフカヒレで、手軽に美肌をキープして欲しいね。

「筑紫楼」はもう随分前から、フカヒレが食べたくなると通っていた。まだ恵比寿東口の古い店しか無かったが、恵比寿南のラブホテル街に瀟洒な佇まいの立派な店舗を構え、いつのまにか向こうを本店にしていたのだ。 今思うと、あの頃な随分と長閑な時代だった…

145.あのシンガポールナイトの魂が道玄坂の屋上に息を吹き返した。

今から数十年も前、新宿に「怪人二十面相」と云う店が在った。それから原宿に「キングコング」なるRock!な店が出来て、どんどん青山、渋谷に近づき「ガレッジパラダイス」、「シンガポールナイト」が生まれ渋谷の裏通りに巨大な「ピンクドラゴン」が出現した…

144.恵比寿でデート、チャモロのオムライスを二人で食べよ。

恵比寿駅の近く、駒沢通りから松坂屋ストア側へ曲がってすぐの処にオレンジ色の小さな看板が目に入る。「レストラン チャモロ」はうっかりすれば通り過ぎて仕舞う程小さくて細い入り口だ。小錦クラスの巨漢は先ず通れないだろう。階段を下りると、洋食屋さん…

143.ウオキンかと思ったらウオキニだった。此処は幸せに出会えるバー

仲の良い飲み友達が渋谷の円山町に住んでいる。其の姐さん行きつけの酒場が百軒店の中ほどストリップの道頓堀劇場の脇を曲がった処に在る。 暫くの間、彼女が「最近、ウオ何とかで飲んでるよ。」と云っていたので、新橋に在るような魚金(ウオキン)とか魚新…

142.新橋に安くて美味いビストロ登場。しかもあの魚金なのだ。

新橋のサラリーマンたちに絶大な人気を集めている居酒屋と云えば「魚金」の名が挙る事が多い。混んでいる店は酒も食材もいつでも新鮮なのが良いが、此処も美味しい魚料理を安く味わえるので、系列店は何処も満杯だ。 其の「魚金」グループが新たに出した新業…

141.目黒で美味いスパゲティが食べたくなったらピアノピアノだ。

目黒通りと山手通りの交差点に大鳥神社が在る。毎年11月になると酉の市が開催されて、浅草の酉の市に負けない程の人出で賑わう。此の界隈で商いを営んでいる人々が商売繁盛や開運招福を祈願して大小様々な熊手を手にして行く姿は、目黒の風物詩の一つになっ…

140.鮑の磯焼きに〆のご飯。此れだけで分とく山に来る甲斐が有る。

日赤医療センター下バス停のすぐ近く、外苑西通りに面した和食料理店「分とく山」は隈研吾設計のアスロックブロックを使用したモダンな意匠が先ず目を引く。 料理人、野崎洋光さんは長い間、西麻布のふぐの名店「とく山」の総料理長を勤め、’89年に支店の…

139.夜良し、昼も良し。銀座でおもてなしに悩んだら、牛庵が良い。

銀座で人をもてなす時、さて何処へお連れしようか、と悩む事が多い。和食、寿司、フレンチ、イタリアン、洋食、中華と日々、相手の好みに合わせながら店を探しているが、僕と同世代や年配だと和食や寿司を好み、働き盛りの三十代あたりになると大概が肉料理…

138.立夏を迎え、江ノ島が気持ち良い。富士見亭でトビと風に舞う。

暦の上で五月の今頃を立夏と云う。二十四節気の一つだが、七十二候では初候の頃で「蛙始鳴」、蛙が鳴き始める季節の事だ。都内の公園の池でも沢山のおたまじゃくしが元気一杯に蛙になる時を待ち望んで泳ぎ回っている。 今年は雨続きのゴールデンウィークであ…

137.ジョイフル三ノ輪を散策し、歩き疲れたら弁慶の串でホっと一息。

自分が徐々に歳を取って来たからなのか、最近商店街の在る街が好きなのだ。別に商店街の洋品店で売っている洋服が好きになったと云う訳では無いが、人々が触れ合う人情味溢れたアーケードなんかを歩くのが妙に愉しくなって来たのである。 東京にはまだまだ沢…