154.鳥房の丸揚げは、一度食べたら病みつく美味さだ。

鳥房

 京成立石駅を降りるとすぐの処に立石仲見世商店街が広がっている。下町らしい風情の商店街は、ぶらり出掛けても店の方々の気っ風の良さや人情味たっぷりのやりとりで買い物するのも楽しくなる筈だ。
 仲見世商店街だけでも十分楽しいのだが、踏切を渡って駅の向こう側にも素敵な店が待っている。鳥専門店の「鳥房」はいつもお客さんで賑わっている。鶏の半身を丸ごと揚げた「鳥の丸揚げ」が大人気商品で、冷めても十分美味しいのでわざわざ此れを買いに遠くから足を運ぶお客さんも多いそうだ。
 さて、立石は呑ん兵衛にはたまらいと云う程良い酒場が軒を連ねているのだが、此の鳥房も裏へ廻るとちゃんと素敵な居酒屋になっているのだ。障子が貼られた引き戸を開けると、皆楽しそうに酒を煽っている。但し、いつも一杯なので外で待つ事は覚悟したい。だが、或の丸揚げの匂いを嗅いで仕舞うと、頭の中でビール片手に頬張る姿が浮かんで来て、待ってでも入りたくなるだろう。
 鳥房自慢の半身の丸揚げは、時価で580円、600円、620円と大きさ違いで値段が変わる。其れにしても、何故あんなに細かく値段を刻むのだろう。都会だったら、迷わず600円、800円、1000円にするだろう。此れが下町の良さだろうか。
 外も中も丸揚げは大人気なので、少々時間がかかる。そんな時はぽん刺しをアテにビールを呑んで待つ事にしよう。
 さて、お待ちかねの鳥の丸揚げが出て来たら、両手でほぐして丸かじりだ。始めての方には、ちゃんとお姐さんたちが親切に教えてくれる。但し、いつもやって貰おうとすると、女将さんがキっと睨み「あんた、いつも食べてんだから判るでしょ。」とピシャリ厳しく怒られて仕舞うのだ。鳥の脂が落ちた千切りキャ別もまた美味しいので是非ひとつ。
鳥房 葛飾区立石7-1-3
03-3679-7025