2009-01-01から1年間の記事一覧

174.グツグツと沸き立つ鍋の音に誘われ、門前仲町に酔う。

廻りをぐるりと川に囲まれた門前仲町は、周辺に清澄庭園や深川不動堂などが在り沢山の人が訪れる。駅から十分も歩けば、越中島の水上バス乗り場も有るので天気の良い日に東京水辺ラインの船旅もまた愉しい。江戸三大祭りの一つ「深川八幡まつり」で名の知れ…

173.未来都市TOKYOのど真ん中、ミルクワンタンで昭和にワープだ。

有楽町駅前が再開発されイトシアとなり、東京駅周辺では巨大なツインタワー、グランドトーキョーが摩天楼の如くそびえ立つ。東京フォーラムの近くには丸の内ブリックスクエアが完成し三菱一号館が復元され、続々とこの界隈に新しい都市が誕生している。この…

172.真心がぎっしり詰まった「下町ッ子」の牛肉に舌鼓を打つ。

富士見台の駅を出てふじみ銀座商店街を抜けると千川通り沿いに『神戸牛 下町ッ子』の提灯が見える。今年で丸十年を迎えた牛肉の専門店は、肝っ玉母さんの様な陽気な笑顔が自慢の松澤瑛恵(てるえ)さんが一人で切り盛りしている。元々和牛一筋『松金』と云う…

171.浅草の喧噪を逃れ、簑笠庵の肴でゆったりと呑む。

浅草寺の雷門は住所では、雷門通りを挟んで台東区浅草になる。地名での雷門は駒形と寿に囲まれた一角で、浅草仲見世通り周辺の喧噪とは裏腹に実に静かな通りが多い。地下鉄田原町駅に程近い田原町小学校の辺りも夕方頃になると子供達の声も消え、静かな時を…

170.外神田「花ぶさ」で変わらぬ昭和の味に酔う。

池波正太郎の時代劇を読むと江戸の頃の町の風景が頭に浮かぶ。「健脚商売」を読んだ後には、無性に浅草など隅田川界隈を歩いてみたくなる。「鬼平犯科帳」にも雑司ヶ谷など登場し、訪れる度に鬼平を思い出す。また池波小説には、必ず美味そうな食事や酒が登…

169.九月の渋谷、「麗郷」の腸詰で故人を偲ぶ。

1970年代の終わり頃、毎日授業が終わると渋谷の街に繰り出していた。山手線を降りると、先ずは宇田川交番の脇を抜けてNHK裏の喫茶「ZOO」で珈琲を飲み、新しい音楽とファッションの情報、映画や本の話題等を収集した。そして、直ぐに街に探しに行くのが愉し…

168.大阪阿倍野の「明治屋」は昼と夜の間をたゆたう蝶の止まり木だ。

落語を聴いていても、関東と関西では可成り根本的な考え方が違うようだ。先日、文珍師匠の噺を聴いた。電車に乗っても東京は「痴漢させない!許さない!」である。これが、大阪では「痴漢、アカン!」となり、やる方に向いている。問いかけるべき相手が既に…

167.陽暮れ前に兵六で呑む。漸く此処が馴染む歳になったか。

社会に出てまだ間もない頃、先輩に連れられて八重洲の小さなビアホールを訪れた。八十年代の前半だっただろうか。当時、背伸びばかりしていた僕は流行りのバーやレストラン等ばかりに目を向けて老舗と呼ばれる店に足を踏み入れる事など無かった頃だ。それで…