3.本郡散策で、明月堂の甘食を買い喰い。

cafegent2007-10-01

 本郷三丁目界隈には昔から良い店が数多く在る。『ルオー』、『こゝろ』、『麦』といった昭和の薫り漂う喫茶店も多い。ルオーはココアが旨い。ケーキの老舗『近江屋洋菓子店』のバウムクーヘンは珈琲、紅茶の茶受けにもってこいである。ユーハイムでも結構イケるのだが、好物となれば近江屋に限るのだ。
 ここ数年、美味いハンバーガーが喰いたくなると訪れるのが春日通りの『ファイアーハウス』。ここのダブルチーズバーガーを知ってしまったら、他店のバーガーでは満足出来なくなってしまうほどに美味い。バンズも良し、パテも良し。ビールと一緒に頬張れば、わざわざここまで足を運ぶ理由が判るであろう。
 本郷、東大の廻りには他にも未だ教え足りない名店が幾つも在るが、何処へ行っても帰りに必ず寄るのが『明月堂』と云うパン屋である。創業明治25年と云うからかなりの老舗だ。パンは今から約460年程前にポルトガルから伝来したのだが、途中鎖国やキリスト弾圧により姿を消し、幕末の明治維新以後、全国に広がっていったのだから、パン文化の黎明期を物語る一軒なのだ。
 ここの食パンが美味い。朝、トーストにしてバターを塗れば、昔懐かし喫茶店のモーニングが蘇る。そして、何と言っても『明月堂』の名物は「甘食」である。小麦粉とバターと卵と云うシンプルな材料で作られるのだが、これがすこぶる美味い。フチがサクサクで、中しっとり。小さい頃、甘食に牛乳が大の好物だった。一口かじれば、ほのかに甘くカステラのよう。噛むといつも歯茎の間にねちょっとこびり付き、それを牛乳で流し込むのがたまらなく楽しいひと時だった。明治時代から変わらぬ製法、変わらぬ味なのが良い。袋もまた味がある。2個140円、少し高いかなと感じるのは40年前頃の値段が頭に浮かんだからだろうか。

明月堂 東京都文京区本郷4−37−14
03-3811-5539