9. 珍々堂のあられで酒が呑める大阪人が羨ましい。

錦マヨネーズあられ

 大阪は西成地区は、串カツやどて煮など安酒のアテになる旨い喰いもんの宝庫だ。金曜とかに大阪に出掛ける時などは、仕事が終わってもそのまま泊まる事にして、夜の新世界辺りを食べ歩くのが好きである。
 天王寺阿倍野の『明治屋』の「きずし」で一献つけて、ジャンジャン横丁まで散策。『てんぐ』の「どて焼き」、『ホルモン道場』では東京じゃお目にかかれないディープな鉄板ホルモンを喰らう。アブラミ、赤セン、マルチョウ、これに細いモヤシが絶妙に絡む。いい感じに満腹になったら『北サンボア』でハイボール引っ掛けて、目指すは三ツ寺会館の『えん』、『ジェット』と梯子酒。夜明けなんて何のソノ、毎度々々無限の夜へと誘われるのである。
 そんな素敵な大阪であるが、西成が誇る名物が有る。酒のアテに最適なあられを売る名店『珍々堂』である。梅田の阪急やあべの近鉄と大きな百貨店に行けば買えるので、仕事で大阪に立ち寄った時などに土産に買うのが良い。
 海の幸、山の幸を多数織り交ぜた浪花自慢の「特上吹寄」が長い間定番の一品であったのだが、最近グンと人気を得ているのが「錦マヨネーズあられ」である。これは 海老、青海苔、黒胡麻の3種のあられをマヨネーズで和えて揚げている。一度食べると病みつく美味さで、後を引くのだ。口に入れればサクッとして、ほのかにマヨネーズの風味が鼻の方に漂ってくる。不思議と焼酎でもビールでもウィスキーでもどんな酒にも合うアテである。
 ご進物などで贈るのであれば、これらに「海苔巻き」と「千枚」を詰め合わせにした「味めぐり」なる缶もある。この名前は僕の好きな料理随筆家、薄井恭一師の名著のタイトルと一緒なので親しみが湧いてしまう。
 『珍々堂』のあられは『蓬莱』の豚まん同様に帰りの新幹線での酒宴の定番である。
珍々堂 販売は、うめだ阪急百貨店、あべの近鉄百貨店
06-6649-0011 阪急オンラインショッピングでも購入可能