24. 亀戸餃子は天神様にお参りをしたご褒美である。

亀戸餃子

 亀戸天神社には、50本の紅梅と150本の白梅があり、1月から少しずつ咲き始める。2月から3月にかけて催される「梅まつり」は見事に咲き誇った梅の花々が美しい。4月からは亀戸天神が誇る藤の花が華麗に咲く「藤まつり」。江戸の頃から「亀戸の五尺藤」、「亀戸の藤浪」と呼び称えられており、多くの人を魅了している。15もの藤棚から心字池に向かって咲く藤色の花は太鼓橋の朱赤と絶妙な調和で彩られて、水面に揺れる。そして、秋になると10月の終わり頃から「菊まつり」が始まる。年間を通じて、花に彩られており何度も訪れてしまう。
 亀戸天神杜は九州の太宰府天満宮の境内にならい、大鳥居をくぐると心字池に二つの太鼓橋(男橋、女橋)と一つの平橋が架かっている。これは、池と橋を人の一生に見立て「三世一念の理」と言われ、最初の男橋が生きてきた過去、次の平橋は今現在、最後の女橋は希望の未来を表し、三つの橋を渡ることで心が清められ神前へと進むようになっている。亀戸の名に相応しく、池には沢山の亀が居り、甲羅干しをしたり泳いだりと長閑に過ごしている。
 天神様へお参りした後は駅近くに古くから暖簾を出している「亀戸餃子」で一杯やるのが良い。一皿に五個載った焼餃子は、最初の一皿を食べ終わらないうちに叔母ちゃんがヒョイともう一枚餃子を乗せてくる。ここは、先ず二皿食べることから始まるのだ。辣油も良いが、小皿に盛られた辛子が合う。パリっとした皮と野菜が多めの餃子は幾つでも入る。いつも気が付くと6皿以上は軽く食べてしまうのである。小さなグラスに注がれた老酒をちびりと舐めながら、餃子をつまめば天神様にお参りをしたご褒美だな、と思ってしまう。
 食べ物は餃子しかない。この徹底ぶりが良い。酒は日本酒、ビールに加え中国酒が沢山揃っている。これもまた嬉しい限り。パイカル酒が生産中止で無くなってしまったのだけが残念でならない。
亀戸餃子 東京都江東区亀戸5−3−3
03-3681-8854