28.立冬は、松屋のカムジャタンで体を芯から温めたい。

松屋カムジャタン

 冬が近づいてくると鍋で体を芯から温めたいと思う事が多くなって来る。日本人ならば寄せ鍋や鮟鱇鍋といった鍋を囲む一家団欒の光景をすぐに思い描くものだ。しかし、ここ数年の韓流ブームに乗って、辛いホルモン鍋や豆腐チゲなどのお隣り韓国の名物も身近に食べるようになってきた。
 そんな中で、安価でめっぽう美味い韓国の鍋料理がある。じゃがいもを辛いスープで煮込んだ鍋だ。らーめん屋でゲンコツと呼んでいる「豚の背骨」のエキスがたっぷりと出た出汁に唐辛子や味噌などで味つけられている。そして、じゃがいも以上に目に飛び込んで来るのが、鍋から溢れんばかりの豚の背骨だ。その鍋料理の名は「カムジャタン」。じゃがいもがカムジャで、汁モノがタンだ。胡麻の葉やエゴマがたっぷりで、味の滲みた熱々のじゃがいもやネギは美味い。また、手でわし掴みにした骨をしゃぶり、こびり付いた肉やゼラチン質を頬張るのがたまらない幸せなのだ。
 大久保駅新宿駅のちょうど中間くらいに在る「松屋」は、この料理が名物の名店だ。二人ならば一番小さい鍋で十分。もちろん、じゃがいもや背骨も追加出来るが、この店はカムジャタンを堪能した後に更なるご馳走が待っているのである。感じの良い若いスタッフに声をかければ、ご飯の用意をしてくれる。これが、日本の鍋後の雑炊とは違い、石焼ビビンバの様に鍋に残ったスープが無くなるまで炒めてくれるのである。これが食べたい為にカムジャタン鍋を頼むようなものなのだ。
 どの席からも聞こえて来る声はハングル語ばかり。まるで、韓国に旅行に着たみたいな気になる。これからの季節、松屋の熱々カムジャタン鍋と絶品焼飯で寒さを乗り切りたいものだ。
松屋 新宿区大久保1−1−17
03-3200-5733