41.たまに食べたくなるジャンキーな目黒かつ壱のソースかつ丼。

かつ壱ソースかつ丼

 目黒にはとんかつ屋が多い。先ずは、永く続いている名店「とんき」の存在が大きい。昔ながらの味を守りぬいている店だが、どんなに混んでいても後ろの椅子に座って待つお客さんの注文した内容を覚えているおじさんが居る凄い店でもある。時々、ここのロースかつが食べたくなる時がある。とんかつはひれかつ派とロースかつ派に分かれるが、僕の場合は断然脂身の多いロースに限る。口の中でジュワっと広がるロースの肉汁と脂身がたまらなく好きなのである。ビールも欠かせないが、これに串かつを一本追加すると何とも贅沢な夕食になる。
 暖簾をくぐり、ガラガラっと扉を開けると、木の床のだだっ広い板場が目に入る。いつかは暖簾分けをして自分の店を持ちたいと願う修行中の若衆たちが実に気持ち良い仕草で仕事をしている。彼ら全員がとても清潔感が漂い、料理とは味だけじゃないのだ、と云う事を改めて感じさせてくれる老舗だ。
 他にも数軒、とんかつ屋が在るのだが、大好きな「とんき」は夕方からしか開かないのである。さて、昼時にもとんかつが食べたい時がある。そんな時に薦めたいのが、駅前のビルの地下に入っている「かつ壱」だ。小さい店ながら、とても丁寧にとんかつを揚げている。ボリュームも有るので若い輩にも向いている。
 ここでの僕の好物は「ソースかつ丼」だ。どんぶりの中にご飯、海苔、千切りキャベツ、そして揚げたてのロースカツが乗り、たっぷりとウスターソースがかかるのだ。随分前、渋谷円山町に「キャベツ丼」と云うソースかつ丼を出す店が在ったのだが、そこが閉店して以来、探し歩いていて見つけたのが「かつ壱」のソースかつ丼だった。ご飯に滲みるロースかつの油がソースと絡み、絶妙な味わいになる。 
 たまに、無性にこう云うジャンクな喰いもんを食べたくなるのである。とんきの合間に如何かな。
かつ壱 品川区上大崎2丁目25-5
03-3779-3388