44.晩秋の昇仙峡めぐり。小作のほうとうで暖を取る。

小作カレーほうとう

 新宿から特急あずさに乗り1時間20分で甲府に着く。山梨、甲府駅からバスに乗り30分程で昇仙峡入口へ。「御岳昇仙峡」は全長5キロ程の渓谷で、澄んだ清流には岩魚や山女が泳いでいる。永い時を経て、水流により花崗岩が削られており、随所に「とうふ岩」、「はまぐり石」と変わった形の奇石、奇岩を観る事が出来る。その中でひと際高く天に向かって聳(そび)え立つ覚円峰(かくえんぼう)は見事だ。その昔、天台宗の僧、覚円が畳数枚程の小さな頂上に登り、修行した話は有名だが、一体どうやって頂上に辿り着いたのだろうか。
 アーチ型の長潭橋(ながとろばし)は、秋になると見事な紅葉の絶景となる。地殻の断層によって出来た仙娥滝(せんがたき)は30メートルの高さから落ちる壮麗な滝が見事だ。滝の前に立つと白く細かい霧が顔に当たりマイナスイオンのシャワーを浴びているようだ。
 紅葉も見納めの頃だが、清流沿いに歩くもみじ回廊は見事としか言いようがない。白い花崗岩に赤く紅葉した木々が折り重なり、まるで絵画を観ている様だ。昇仙峡は春の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と四季を通じて美しい景観を提供してくれるのだ。
 さて、のんびりと昇仙峡を楽しんだら、「小作」の甲州ほうとうで冷えた身体を温めたい。「ほうとう」と云えば、かぼちゃだ。かぼちゃがたっぷりと入っていなくちゃ「ほうとう」じゃない。只のうどんである。かの武田信玄も野戦食として用い甲州を代表する郷土料理でもある。冬の時期の牡蠣ほうとうも美味い。どのほうとうも、かぼちゃ、ジャガ芋、里芋、牛蒡、人参、白菜と野菜が沢山入っている。その中で是非、汗をかきながら食べてもらいたいのが「カレーほうとう」だ。これからの寒い季節は、これに限る。頼む時は少々悩む気もするが、病みつく味である。
 「小作」は甲府駅近くに二軒、車の方も諏訪インターや双葉バイパス、河口湖にも支店が在る。寒くなる季節に食べたい甲府名物だ。
小作 甲府駅前店 甲府市丸の内1-7-2
055-233-8529