50.美しい京都の四季をお茶と共に愉しむ「ますね」の干菓子。

京菓子司ますね

 晩秋から冬にかけての京都は町全体が美しい。京都駅を出たら、のんびりと東福寺まで散策したい。臥雲橋より通天橋を望む景色には思わず息を呑む。真っ赤な楓が海のように広がっているのだ。見事な楓とモミジの紅葉見物の後は、雪舟寺の茶室にある円窓から望む雪舟庭園も素晴らしい。禅の心で何が見えるだろうか。
 ここからは京阪電車に乗って三条辺りまで足を伸ばす。ちょうど今頃、高瀬川の川面に桜やモミジの緋色した落ち紅葉が絵の様な景観を映し出している事だろう。木屋町通りや先斗町界隈を散策するのも愉しいひとときである。夕暮れ時、格子戸の上に明かりが灯る頃が酒仙堂には嬉しい時刻となる訳だが、今回は酒肴の話ではない。
 さて、こんな美しい古都の四季を織りなす、京ならではの干菓子がこの近くに在る。京都の繁華街、河原町通の三条西南角に店を構える京干菓子・半生菓子の専門店「ますね」だ。元来、お茶席に季節感を出すため作られたと云う干菓子は、四季折々の京の風情を凝縮したかの如く、この町特有の品が漂う。
 今の時期は、ご覧の様に赤い紅葉や黄色いイチョウ、ススキ、松茸、愛らしい雀などが干菓子になる。また、夏になると京うちわや鮎、金魚、スイカなど目に涼しい干菓子に変わるのだ。うちわの柄も祇園祭が終わると大文字の柄になるなど、細かい気遣いが嬉しい。
 茶の湯を嗜まない方でも京都の四季を目で楽しみ、舌で味わう事が出来る。一つひとつ丁寧に手造りされた干菓子は貰った人の心まで豊かにしてくれる。生菓子と違い、日持ちするのでお土産にも最適だ。

京菓子司 ますね
京都市中京区河原町通三条西南角
075-221-2017