56.ローブリューの豚肉料理で今年もガツンと締めくくりたい。

cafegent2007-12-19

 以前、フランスに遊びに行った時に列車に乗ってパリからスペインまで出掛けた事がある。その車中、口の悪いフランス人が「ピレネー山脈を越えたら、ありゃもうアフリカの風が吹いているんだぜ。」なんて云っていたのを思い出した。そのフランスとスペインに股がる地域は「バスク地方」と呼び、フランス側に3地域、スペイン側に4地域で構成されている。
 つい先日は、必ず最後に”泣き”が入る某テレビ番組で女優の壇れいがバスクのアルデュード村を訪ねていた。この村では絶滅危機に瀕していたバスク豚の飼育に力を注ぎ、18年前に僅か30頭だった豚を5000頭まで増やす事に成功したそうだ。
 バスク地方と云えば、豚を余す所無く全部料理に使う。どの家でも庭先に豚を吊るし、皮を剥ぎ、内蔵を取り出し、血を全部出し、保存する。豚の血は凝固剤の代わりにもなるので、チョコレートケーキなどにも入れる貴重なものだ。またこの豚の血を使った「ブーダンノワール」と云うソーセージも格別である。
 冬になると無性に豚料理が食べたくなる。ぐつぐつと煮込んだカスレも美味いし、炭火でじっくりと焼き上げた肉も旨い。
 そんなバスク地方の豚料理を中心としたビストロが南青山、骨董通りからひっそりと露地に入った処に在る。その店の名は「ローブリュー」。そう、バスク地方のシンボル紋章の呼び名である。オーナーの櫻井シェフがバスク地方で学んだ料理は、しっかりとしたフランス料理の素地の元に仕上がっており素晴らしい味わいを提供してくれる。またボリュームも凄いので男連中にも嬉しい限りである。
 季節毎、日々黒板に書かれたメニューも変わるので、いつも迷ってしまう。「豚の血のパテ」に「マッシュルームのサラダ」、「豚足のパン粉焼き」にしようか、「肩ロースのグリエ」にしようか、はたまた「カスレ」を選ぼうか、と云う感じである。ワインも値頃感の良い美味しいものを揃えているので是非一緒に頼むと良い。また、デザートには是非「ガトーバスク」を頼んで欲しい。そこには、バスクのシンボル紋章が飾ってあるからだ。
 そうそう、ここは櫻井シェフ、以下スタッフ全員が坊主頭なのも実に清々しくて良いのである。
ローブリュー 港区南青山6-8-18  
03-3498-1314