66.食後に痛感。「廣田の御料理、日本の誇り」だと。

食堂廣田カキフライ

 「只々、美味しい料理を食べさせてあげたい。」、そんな情熱がガツンと伝わってくる料理人が大井町に居る。「廣田」のオーナーシェフ、猿渡さんだ。深夜に馴染みの酒場でエンドさんとお会いし、話がつい料理の事になると、もう止まること無く熱く語るのだ。あぁ、この人は本当にお客さんに美味しい物を提供したいのだなぁ、只それだけを想い、使う油や食材などにも一過言あるのだ、と関心するばかりである。
 そして、冬の時期だけエンドさんが創るカキフライが凄い。大抵の店で出すカキフライなる料理は牡蠣一個づつ衣を付けてサっと数分で揚げて出す。此れも大変美味しいのだが、冷めてしまうと揚げ油の味が強く残り美味しいもんじゃない。まぁ、そう云うカキフライは、揚げたてをすぐ口に入れるのが正しい食べ方である。ところが廣田のカキフライはと云うと、これが何と20分から30分かけて揚げるのである。じっくりと油で揚げる事で完璧に牡蛎に火が入り、牡蠣の持つ旨味が全て廻りの衣(ころも)の中に充満するのだそうだ。
ゴロンとしたテニスボールの様なまん丸の衣を割ると、他店のカキフライの二人前分もの牡蠣が使われている事に驚嘆。
 普通のカキフライは口に入れた時にちょうど火が通るくらいのレアが旨い。でも、廣田のカキフライは完全に火を入れるので冷めても美味いのである。ワインを呑みながら、ゆっくり味わえる極上カキフライなのだ。
 白ワインでもと思っていたら、「ウチのカキフライは赤が合うよ」とススメられるままにブルゴーニュの赤を頂く事にした。今年から此のカキフライは、田園調布の「食堂廣田」での提供となった。3月末までの美味しいスペシャリテを是非予約して戴きたいものだ。
食堂廣田 大田区田園調布49-1-1F(予約はメイルのみ)
詳細はこちらから http://www.bronet.jp/gypcy/hirota.html