84.創業150周年の榮太樓飴で團十郎の粋を味わう。

榮太郎飴

 梅ぼ志飴でお馴染みの「榮太樓」が創業150周年を迎える。これを記念して、江戸の頃から庶民に愛され続けている榮太樓の飴と同様、歌舞伎の世界で人々に愛されている市川團十郎歌舞伎十八番の役どころ「助六」と「弁慶」の舞台姿が粋にあしらわれた梅ぼ志飴と黒飴の二缶組「團十郎セット」が販売された。。
 お江戸日本橋が魚河岸を中心に栄えていた頃、歌舞伎の世界も大看板、市川團十郎を中心に大賑わいを見せていた。この大名跡を受け継いだ成田屋(屋号)は、日本橋河合の魚河岸の旦那衆が後援をしていたのだが、榮太樓も創業以来「井筒屋」と称して魚河岸で屋台を曳き、商いを広げ、日本橋に「榮太樓總本舗」の看板を掲げたのだ。
 江戸時代、砂糖はとても贅沢で貴重な高級食材だった。江戸の庶民たちは砂糖なんて口にした事がない。そんな訳で、南蛮渡来した高級な細工菓子「有平糖」も庶民には高値の花であった。
 初代、細田榮太郎は何とかこの飴を皆に食べてもらいたいと思案し、粗糖のアク抜きや、煮詰めの火加減など工夫を重ね独自に開発し、とうとう「有平糖梅ぼ志飴」を生み出した。
 飴が固まりきらないうちに紅色の飴を鋏で切って指でつまむ。この赤い三角の飴を見て「梅干し」を連想した事から、「梅ぼ志飴」となった。甘い飴に酸っぱい梅干しと名付けるところが、江戸の粋さである。
 当然、この飴に梅など入っていないのだが、ある時消費者センターに呼び出され「表示違反」じゃないかと消費者からクレームが入った事が有ると云う。これは、もはや「江戸の粋」が判らない時代になったと云うことか。
榮太樓總本鋪 中央区日本橋1-2-5
03-3271-7781