87.博多が誇る西洋和菓子を頬張り、ミカバンド『黒船』を聴く。

博多通りもん

 九州、博多の風物詩「どんたく」を初めて知ったのは忘れもしない1974年、サディスティック・ミカ・バンドがリリースしたアルバム「黒船」の中に収録された歌だった。どの曲も全てが衝撃的だったが「どんたく」と云う曲の何とも楽しい事。それから10年後の’84年、仕事の合間のゴールデンウィークを利用して博多どんたくを見物しに出掛けた事があった。
 毎年、五月の3日、4日に福岡市で開催される博多どんたくは、朝から夜まで数多くの「どんたく隊」と呼ばれるグループが踊りや松囃子を披露しながら明治通りを練り歩く。
 「空にはヒバリがピーチクパーチク、下にはレンゲ、タンポポの花盛り。やかましぃ云うてやって参ります。その道中の陽気な事!」、ハテどこかで聴いた落語の台詞じゃないが、どんたく見物は実に楽しい。天神や博多など至るでどんたく隊が演舞を観る事が出来る。電飾の花自動車やブラスバンド隊なども賑わいに花を咲かすが、歴史あるどんたく衣装を身に纏ったお囃子の人々が素晴らしい。
 彼らの事を博多弁で「通りもん」と云う。しゃもじを手に持ち、お囃子に合わせて踊りを舞う通りもんがあってこその「博多どんたく」なのである。
 ここ数年もの間、福岡の土産として不動の人気を誇っているのが、この名前を冠にした名月堂の銘菓「博多通りもん」だ。あの世界的なお菓子コンテストの「モンド・セレクション」で七年連続で金賞を受賞している菓子である。和菓子のお饅頭の様だが、口の中でとろける食感。しっとりした白餡の仄かな甘みと懐かしいミルク風味が多くの人々を魅了しているのだろう。
 知人,友人のお土産にすると大変好評で、皆九州を訪れた際に土産にするそうだ。奇をてらわず、素朴な菓子作りを続けているからこそ、人気も不動なのだろう。平安時代から続く「どんたく」のようにね。
博多西洋和菓子 名月堂 福岡空港内各売店にて販売
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