92.岡山の銘菓、白十字のワッフルを遥か東京で味わう幸せ。

白十字ワッフル

 岡山出張の土産に大変嬉しい菓子を戴いた。「白十字」のワッフルだ。以前、岡山に行った時に知って以来、此処のワッフルのファンである。だが、地元でも不動の人気であり、遅い時間に行くと売り切れてしまう程なのだ。
 白十字は岡山の人なら知らない人が居ない菓子の名店である。ケーキ、焼き菓子、和菓子、ショコラと菓子全般に手掛けており、そのどれもが美味しく上品な味わいなのだ。その中でも、此のワッフルは秋から春にかけてしか作らず、暑い夏の間は全店で販売を休むのである。日持ちもせず、賞味期限もその当日だけと云う大変に背筋のピンと伸びた姿勢で菓子を作り続けているのである。
 ベルギーワッフルの様な固い歯応えでは無く、ふんわりと優しいワッフル皮の中にたんまりとカスタードクリームを挟んだ、昔ながらの「ワッフル」なのだ。蜂蜜の香りとカスタードのバニラ味が一体となり、口の中いっぱいに幸せな味が広がる。
 何の変哲も無いお菓子なのだが、子供の頃に初めて洋菓子を知った時の味を思い出す。僕は可成りの珈琲党であるが、白十字のワッフルを食べる時には紅茶にしている。まだ、珈琲など苦くて飲めなかった小さい頃を思い出し、味わうのである。
 白十字の創業は昭和32年との事だ。僕より少し上である。ここのケーキで育った子供ももう50歳を過ぎているのだ。皆僕と同じように、この素朴な味わいのワッフルで遠い日の事を思い出すのだろうか。しかし、日持ちしない菓子なので、つい一度に2つ、3つと食べてしまう事だけが問題なのである。
白十字 一番街店 岡山市駅元町1
086-232-6967