99.たまに朝から酒が呑みたい日、赤羽まるます家が心地よい。

まるます家

 最近は余り漫画を読まないのだが、谷口ジロー氏が描く「孤独のグルメ」を借りた。前々から読みたいと思っていたら、仕事仲間が持って来てくれた。この漫画、原作が漫画家の久住昌之氏だ。僕の好きな大井町「廣田」の店内には久住さんの切り絵作品が多く飾られ、とても素晴らしい。借りた途端に一気に読んでしまったが、第四話のエピソードが「東京都北区赤羽の鰻丼」だった。話の中で、店の名は出て来ないのだが、此処はもう「まるます家」に間違いない。
 赤羽駅から程近く、数多くの居酒屋が立ち並ぶ中、角地に大きな木造二階建てが目立つ。大きな黄色い看板には「創業50年 鯉とうなぎのまるます家」とでっかく書かれている。創業昭和25年の老舗酒場なのだ。此処では名物「鯉の洗い」をアテに一人三本までの辛口酒「金升」(かねます)を燗で呑むのが嬉しい。また、「煮込み」は牛スジたっぷりなので一人だと多い程だ。
 店のおばちゃんたちも陽気で楽しい。「法蓮草おしたしがアト3つだけど、いかがぁ〜」とお盆を持って店内を廻ったりする。その語り口が何とも可愛く素敵なのだ。居酒屋の定番メニューもほぼ網羅しているので、何を頼んでも旨い。また鰻を売りにしているだけあって「肝焼き」はオススメだ。
 赤羽は朝早くから空いている酒場が多く、此処も朝9時から始まるのだ。また日曜も営業しているのが、更に嬉しい限りである。コの字型の大きなカウンター席は常に一杯だが、そんな時は二階を覗いて欲しい。大きなお座敷はまるで誰かの家に遊びに来たぐらいに寛げる。まるます家は値段も手頃なので安心して酔える名店だ。「孤独のグルメ」を気取る事無く、大いに愉しみたい。
まるます家 総本店 北区赤羽1-17-7
03-3901-1405