115.蒸したて、維新號の肉まんをアテにビール。顔が緩むナ。

維新號肉まん

 もう随分昔の事になるが、新橋を拠点にしている某大手就職情報のR社にツワモノ名物部長が居た。彼との打ち合わせは決まって新橋のサウナなのである。いつ会社に電話しても秘書さえ居所が判らない始末。中々、部長に会えない日々が続いて居たが、或る日漸く居所を掴んだのだ。彼はほぼ毎日午後2時過ぎ辺りになるとサウナで汗を流して居たのだ。其処でこちらも一緒に入る事になり、裸の付き合いで話を進めて行く事になったのだった。
 ひとしきり汗を出し切ると、今度は決まって近くの高級中華料理店「維新號」へと向かうのである。冷えたビールを呑み、あわびの醤油煮込みをつまむのが、お決まりのパターンだった。あれから15年以上の歳月が経ち、あの名物部長のウワサも聞かなくなって仕舞った。当時、高級中華で敷居が高いと思っていた維新號も実は気軽に美味しい中華料理が食べれる店だと判り、その後は頻繁に通うようになったものだ。
 巷では様々なラーメン店が軒を連ねているが、時々中華麺が無性に食べたくなる時が有る。そんな時、迷わず僕は此処に来る。セロリそば、わんたん麺、海老つゆそばは凄く美味しい。そうだ、モヤシそばも忘れちゃならない。
 普段の昼飯も良いが、取引先と商談を兼ねた会食も、此処ならまず間違いない。丁寧な接客にベーシックな設え、「奇をてらわない」とは正に維新號の様な店を指すのだろう。フカヒレの姿煮やアワビとナマコの煮込みなど、舌がとろけてしまう程上品な味わいなのである。そして、帰りに決まって持ち帰るのが、名物「手作り特製肉まん」だ。1個473円と決して安くは無いが、豚肉と貝柱の深い味わいが病みつく美味さなのである。蒸し器で蒸してビールのアテにすれば、思わず顔が緩むことだろう。
銀座 維新號 本店  中央区銀座8-7-22-B1
03-3571-6297