134.武蔵小山みやこやの極旨ハラミとホイスは懐具合も気にならない。

　ザガット・サーベイの総合第一位に輝く篠崎の「ジャンボ」や牛一頭買いで名を馳せた恵比寿の「チャンピオン」の様にA5級クラスの極上和牛の希少部位、三角、ザブトン、イチボ等々を食べさせてくれる専門店が客を集めている。こんな極上部位だから幾ら安い、お値打ちと云ったって一人前二千数百円から三千数百円なので、調子に乗って食べていると30分程ですぐ１万円札が飛んで仕舞うのだ。そんな訳でしょっちゅう行ける筈も無い。
　武蔵小山駅のすぐ近く26号線を渡り、もつ焼き「牛太郎」を越えた突き当たりに赤い暖簾を下げるのが、「ホルモン道場みやこや」だ。夕方５時開店と同時にお馴染みさんたちでカウンターがすぐ埋まって仕舞う程の人気なのだが、二階にも広い座敷が設けてある。此処はカウンターの上に乗るガスコンロも大阪鶴橋あたりの焼肉屋を彷彿させ、なんとも居心地が良いのだ。
　此処で先ず食べてもらいたいのはレバ刺しと牛すじ水炊きだ。此れをアテにホイスを呑むのである。ホイスとは白金の後藤商店が作る下町ハイボールの素に匹敵するエキスなのだが、薬草やウォッカの香りが漂い，口当たりが良い飲み口は癖になる味の酒である。みやこやは親爺さんと息子さんの二人で切り盛りしているのだが、二人の名字は後藤さんだ。そして、或のホイスを生んだ後藤商店は此の親爺さんの兄なのだそうだ。すなわち此の店は直系ホイスと云う訳である。
　さて、先の高級焼肉に匹敵する程旨いのが、此処の「ハラミ」と「上ミノ」だ。此れを食べたら、もう他のハラミが喰えなくなる程に美味しいのだ。独りで行っても此処は実に愉しい。そして、あなたが巨人ファンなら尚さら楽しい事だろう。
ホルモン道場　みやこや　品川区小山4丁目9-1
03-3781-5635