5.落語じゃないが、さつま芋は目黒に限る。

レアチーズポテト

 毎年10月になると目黒不動尊にて「甘藷祭り」が行われる。江戸時代、人々を食料不足による飢餓から救うため、サツマイモの研究をし、栽培と普及に尽力を注いだ蘭学者青木昆陽だ。サツマイモは「甘藷」(かんしょ)と呼ばれ、どんな土地でも根を付け育つので、青木昆陽は甘藷栽培を広めて歩き、「甘藷先生」と称されるようになった。その「甘藷先生」の墓碑が目黒不動尊に奉られているのである。そしてその功績を称えて、毎年10月28日に「甘藷祭り」が催されるのである。境内の一角には全国から集まったサツマイモ関係の方々の出店がでる。芋料理、芋菓子、そして忘れちゃいけない芋焼酎などだ。
 目黒不動尊のすぐ近くに店を構えるのが『あとりえ市』だ。ここは、店主の森さんが徳島の名産「鳴門金時芋」だけをふんだんに使った芋菓子専門店である。さつま芋の神様である青木昆陽ゆかりの地、目黒不動尊前ならばきっと店も繁盛し、年に一度の「甘藷祭り」で多くの人が集まってくれるだろうと、この場所を選んだそうだ。ここまで、思い入れが強いのならば、甘藷先生がきっと見守ってくれるであろう。
 この店評判の名菓が「鳴門金時レアチーズポテト」と云う菓子で、遊びに来た友人から手土産に戴いたのだった。初めはレアチーズポテトと云う名にいささか躊躇したが、ひとくち口に入れた途端、すぐに虜になってしまった。それ程の美味さなのである。さつま芋とレアチーズがこんなにも調和するなんて、新しい発見である。また、ご主人は元々パッケージデザインを手掛けていたと云う事で、なる程、この品もパッケージが洒落ていた。これなら手土産にも申し分ない。
 殿様曰く、「秋刀魚だけではなく、さつま芋も目黒に限る。」のであった。
あとりえ市 東京都品川区小山台1−33−9
03−3495−5150