77.学校帰りに食べたミルクカステーラのチープな味が今も懐かしい。

ミルクカステーラ

 札幌で過ごした中学生の頃、学校帰りにいつも買う駄菓子と云うか菓子パンがあった。その名も「ミルクカステーラ」と云うのだが、卵黄や蜂蜜を贅沢に使った文明堂や福砂屋のあの上品でしっとりとしたカステラとは似ても似つかない別の代物なのである。
 しかし、「北海道産小麦粉100%使用」と堂々とうたっており、原材料には鶏卵、蜂蜜なども入っている。保存料も使っておらず、躯に優しい食べ物なのだが、本当に卵が入っているのだろうか、と思う程安っぽい味なのだ。ただこれだけを食べていると絶対に喉が詰まる。
 しかし、このパサパサしたミルクカステーラを牛乳と一緒に食べると最高に美味しいのである。東京に来てから久しくあの味を忘れていたのだが、先日都内にある北海道物産を扱う店を覗いたら、あの当時と変わらない「ミルクカステーラ」がひとつ74円で売られていたのだった。
 懐かしさと嬉しさで迷わず買っていたが、昔は確か一つ30円くらいだったと思ったから倍以上の値段になっていて驚いた。そうだ、札幌では確か五本入りで100円か150円だったかもしれない。
 パッケージには北海道のカタチをしたマークの中に「北海道銘菓」と銘打ってあるが、何処からどう見ても駄菓子である。「商標登録ミルクカステーラ」と、スズランのキッチュなイラストも実にチープで良い。
 一口かじった途端、中学校の帰り道を思い出した。九条通りを横切って家に帰る途中、三角パックの牛乳とコーヒー牛乳を同時に飲みながら、こいつを頬張って歩いたっけ。
ミルクカステーラ 鳥川製菓株式会社
札幌市白石区東札幌2条2丁目1-5
011-823−8051