117.日が長くなった。グラニテのリエットをアテにビールかな。

グラニテ

 僕は無類のリエット好きだ。リエットとは豚肉とラードで作ったペーストの事。何処の店に入っても、メニューに「リエット」の文字を見つければ必ず頼んで仕舞う。バゲットにたっぷりと塗り付けて、ワインかビールのアテにする。今から20年程前、パリで初めて此の味を知ってからと云うもの、好物となって仕舞ったのだ。
 都内に数在る店の中、レストランでもビストロでも無く、街のカフェなのにすこぶる旨いリエットに出会ったのが、渋谷の文化村をちょいと過ぎた処に在る「グラニテ」だった。
 元々、渋谷駅近く桜ヶ丘の「ミコノス」で働いて居た紅一点の桐ヶ窪香奈ちゃんが準備に準備を重ね、満を持して開いたオーナーカフェだ。自慢の料理に合う酒も旨いし、珈琲も良い。店主が此れだけは絶対に仕入れたかったと云う自慢のエスプレッソマシーンで作るカプチーノも素晴らしい味だ。ふらりと立ち寄っても、実に居心地良く寛げるカフェである。
 それにしても、彼女の作る料理は実にホっとする味だ。豚のリエットしかり、クロックムッシュ、カスレ、ラムのクスクス、此れだけを見ても今時の小洒落たビストロなんかで大枚を使うのだったら、迷わず「グラニテ」を訪れて貰いたいと思う。パリに住む友人宅で、お母さんに作ってもらった様な料理なのである。
 そして此の4月、グラニテは二周年を迎えるのだ。街のカフェは日々沢山の人々に愛されて店は色ずいて行くのだろうね。此処も正にそんな雰囲気を醸し出している。いつまでもずっと渋谷の街の愛されるカフェとして佇んで欲しいものである。
 春になり少しずつ日が長くなった。夕暮れ時、此処の窓から望む夕日は綺麗な事だろう。そして、二周年心よりおめでとう。
カフェ・グラニテ 渋谷区円山町1-18 峯ビル2F
03-3462-2132